古事記1300年にあたって

7、唐王朝再興の思惑

  さて、わが国を支配下にした唐王朝ですが、税の徴収で民衆を散々苦しめたため、907年に節度使の朱全忠や民衆も含めた反乱により滅ぼされ、大陸から追放されます。そして、唐王朝・鮮卑族の勢力は、彼らが支配下にしていたこの列島に逃避するしかありませんでした。その時に奪われないようにと持ち込んだのが、東大寺正倉院に今にまで保管されている膨大な宝物の数々です。
 この列島を支配下にしていた唐王朝の勢力にとっては、これ以後、大陸における『唐王朝再興』こそがその最大の存在意義となります。それは、彼らのルーツでもあり最高の神である天照の指令として古事記にも残されました。
 第14代仲哀天皇の段で、仲哀天皇が、神のお告げを請い求めると、その神は、西方の種々の珍しい宝物がたくさんある国を帰服せよと答えます。しかし、仲哀天皇は、西の方を見ても何も見えないので、その神の言うことに不信を持ち、知らん顔をして琴を弾いていました。するとその神は、『およそこの天下は、お前の統治すべき国ではない』と怒り、仲哀天皇はそのまま絶命してしまいます。まるで、神の言うことに従わない者は、たとえ天皇であっても許されないということを意味しているようです。そして、その皇后が、また神に問いかけると、『これは天照大神の御意志である』と答えたとあります。
 つまり、天照の意思は絶対だと言っています。絶対的な権力者であったかと思われた天皇の背後には、さらに強力な支配者がいたことを意味します。
 すなわち、唐・藤原氏こそが、天皇をシンボルとする実質的な支配者だったということになります。そして、大陸侵略に消極的な天皇は消されるかもしれないという、藤原氏からの『脅し』とも言えるほどの強烈なメッセージが残されています。
 しかし、王朝貴族の彼らには、そんな力はありません。そこで彼らは、「この列島の人々を騙して大陸侵略の手先にせよ。しかし、その思惑は決して口にするな」と古事記に残しました。それが、『因幡の白兎』の逸話に秘められているメッセージです。
 その思惑に基づき、自らの守護と大陸侵略にむけて武装勢力を増強していきます。それが、武氏、つまり武士です。平家、源氏、北条、徳川等々、あたかも時代が変わったかのように思わせていますが、基本的なその本性に何ら変わりはありません。今で言う政権交代のようなものです。
 そして、秀吉の時代、あるいは明治維新以降、唐王朝再興を目指して大陸を侵略していきました。しかし、そんな時代錯誤も甚だしい企みは、世界の民主主義勢力によって破綻しました。ところが、彼らは、戦後もその大陸侵略の思惑を持ち続けています。そのために、平和憲法に反して自衛隊なる軍隊を再配備し、米軍基地も存続させ、着々とその準備工作進めています。消費税の増税は戦費調達、憲法改定は侵略戦争の合法化を意味しています。

 一方、わが国の庶民は、記紀認識で、自らを支配している勢力の本性も思惑も全く見えなくされてしまいました。
 古事記編纂1300年の節目の年にあたって、わが国の人々が、自らの歴史を取り戻すそのきっかけの年になることを願ってやみません。
(完)


                 


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