万葉集に秘められた真実!
古代の都 『あきづ嶋やまと』   1

万葉集に詠われた『天の香具山』

大和には 群山(むらやま)あれど 取りよろふ 天の香具山 登り立ち 国見をすれば 国原は煙立ち立つ 海原は鴎立ち立つ うまし国ぞ あきづ嶋大和の国は

 これは万葉集第2首の歌ですが、きっとご存知の方も多いことでしょう。
 先に述べました書籍を読んだ時、万葉集の歌の解釈にいろいろと疑問が浮かびましたが、その中で最も不可解に思ったのがこの歌でした。通説では、『大和にはいろいろな山があるが、選んで『天の香具山』に登って国見をすれば、国原には煙があちこちから立ち昇り、海原には鴎が飛び交っている。何てすばらしい国なんだろう、あきづ嶋大和の国は』となっています。
 時の大王が、奈良大和三山の香具山に登って自らの治める国を眺め、その美しさを愛でて詠ったというものです。
 ところが、奈良盆地には、海原や鴎が見えるような場所は何処にもありません。もちろん、嶋など見えるはずもありません。それついては、すばらしい国とはこうあるべきだといった架空の概念を詠ったと言われています。つまり、この歌は、想像や空想の産物だというのです。
 また、あきづ嶋とは、トンボのような嶋を言うのですが、それもこの列島を詠んでいるとされています。地図も人工衛星もない古代にあって、この列島の全体像は知り得ません。ですから、その大王は、おそらくこんな形状をしているのだろうと思い描いたという訳です。
 私には、この歌がそんな絵空事のような歌には思えませんでした。見晴らしの良いその山の上には、心地良い風が吹き、あちこちで煙が立ち昇っているのが見えたことでしょう。そして、鴎のにぎやかな鳴き声や潮の香りすらしてきそうなほどに写実的な歌に思えました。
 この詠み人は、そこに描かれているような情景を実際に眺めながら歌ったとしか私には思えませんでした。
 あるいは、その当時、奈良には海があったのかもしれません。とにかく、現地に行って自分の目で確かめるしかありません。
 では、奈良の地へ出かけることにしましょう。
 


                       


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