古事記に残された大陸回帰の指令

1、出雲対策

 李淵が唐王朝を築いた手法や、武則天の強権的な恐怖政治も含めて、王朝維持にあたっての教訓は、この列島の占領支配を続ける藤原氏にとっては、その『バイブル』となっています。
 まず、武力で以って制圧し、そこに傀儡の政権を作り、禅譲といった形式的方法で自らの『正統』なる地位を築きます。そして、敵対する勢力は抹殺し、たとえ危機的な状況に陥ったとしても、『寝返り戦術』で延命工作を図るといったものです。
 その大帝国を誇った唐王朝も、塩の専売で過酷な税収を庶民から取り立てたために、大きな反乱が起き、徹底した掃討戦のあげくに滅ぼされてしまいます。唐王朝貴族の一部は、その殺戮の手を掻い潜って、命からがら大陸から逃れることになってしまいました。
 それは、王朝貴族の過酷な特権的支配に対して大きな怒りが巻き起こったのであって、自らが招いたことでもあります。しかし、極端に自己中心的な彼らに、そんなことが理解できるはずもなく、大陸から放逐されたことに対する復讐と、大陸回帰に執念を燃やします。そして、再び大陸へ戻って大唐帝国を再興せよと、後の藤原氏に引き継いでいます。
 ところが、貴族の彼らにそんなことができるはずもありません。そうなりますと、彼らの思惑に沿って、この列島の倭人を利用するしか方法はありません。
 つまり、そういった彼らの思惑や戦略を書き残したものが、古事記だったのです。しかし、本当の歴史や、そんな計略をストレートには書けませんから、さまざまな装いを凝らして彼らのメッセージを盛り込んでいます。
 ですから、そういった認識が無ければ、ちょっと変わった歴史書といったところですが、藤原氏の勢力がそれを読むと、唐王朝からの貴重な、そして強烈な大陸回帰へのメッセージだと理解できるという仕組みになっているのです。
 では、どのようにメッセージが盛り込まれているのか検証してみましょう。
 まずは、何と言っても出雲対策です。
 古事記のおよそ3割が出雲についての記述です。その中で、まずスサノオ尊を初めとした出雲の神々を徹底して貶めています。出雲の勢力にとってその始祖神であるスサノオ尊は、出雲王朝の基礎を作った最も尊い神ですが、悪行三昧の妖怪かのごとくに描かれています。
 ただ、大国主命は、兄神たちに苛められながらも、白兎を助ける慈悲深い神と描かれています。唐・藤原氏が『国譲り』を受ける大国主命ですから、悪く描くわけにはいかなかったようです。あるいは、支配の対象とする勢力は、分断・差別せよと伝えているのかもしれません。
  


                       


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