=歴史探訪フィクション=

人麻呂の怨・殺人事件


第3章 (3)

 「さすが、出雲市観光アドバイザーというお仕事をされている福山さんならではの、貴重なご意見だったと思います。そういったところも十分加味して今後検討していきましょう。他にご意見はございませんでしょうか」
 それ以後は、手が挙がらなかった。
 祐介は、最後に、挨拶をする理事長や会場内を撮影した。
 そして、何よりも、気になる人物がいた。
 最後に発言をしていた福山だ。
 祐介は、直接には面識が無いので、今後、何か聞くことも出てきそうに思い、挨拶をしておくことにした。
 「どうもご苦労様でした。山陰日報社の記者をしている、佐田祐介と言います」
 そう言って祐介は、名刺を差し出した。
 「それはご丁寧に。こちらこそお世話になっています」
 福山も名刺を取り出して祐介に手渡した。
 「最後に貴重なご発言でしたね」
 「いえいえ。すみません。ちょっと長すぎましたか。しかし、本当は、もっと言いたいことがあるんですけど、あの場ではまだ言えません」
 「どういうことなんですか」
 「そうですねえ。出雲の歴史です」
 「出雲の?」
 「出雲のみならずこの列島の歴史と言ってもいいのですが、どうも私には出雲の本当の歴史が、隠されているように思えてなりません。何かが覆い隠されているといったイメージを最近特に感じるんです。まだそれが何なのかは分かりませんが。それが、今、もう隠しきれずに一気に露になるんじゃないかって予感がしています。まさしく出雲の夜明けと言ってもいいかもしれません。あっ、失礼。余計なことを話してしまいました。また、コラムにでも書かせていただきますよ」
 「ぜひ、よろしくお願いします。これからどうされます? 車でお送りしましょうか」
 「いえ。大丈夫です」
 「そうですか。では、また」
 祐介は、今日の会議で出された発言や今の福山の言葉に、一つ一つ考えさせられるものがあった。
 しかし、そんな感慨にふけっている時間はなく、すぐに本社へ戻り記事をまとめなければいけなかった。
 ・・・『出雲の夜明け』って、どういう意味で言ったのだろう。 




                                               

  邪馬台国発見

  ブログ「邪馬台国は出雲に存在していた」

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